加茂昂展「逆聖地」

Akira Kamo exhibition Anti-sanctuary    
2016年1月20日~2月6日、3月23日~4月2日(正午~午後7時、日・月・火曜休、左記以外の期間は予約をお願いします)

2014年、アートプロジェクトに参加するため対馬に滞在した加茂昂は、山の中にはみだりに立ち入ることのできない茂地(聖地)があると、地元の人に教わりました。樹木が伐採されずに残った緑豊かな山からは栄養分に富んだ水が海に供給されるため、聖地という形での森林の保護は漁業に役立っていることも知りました。 

おりしも東日本大震災を意識した作品を制作し、福島第一原発周辺の立ち入り禁止区域について考えていた加茂は「人間の知識の負の結晶」という意味で「逆聖地」という言葉を思い浮かべました。聖地も「逆聖地」も同じ立ち入り禁止区域でありながら、その成り立ちは真逆。しかし目をそむけずに向き合おうという思いがこのタイトルの背景にあります。 

今回の個展では、幅7.3メートルの大作「逆聖地」(2014年、油彩、カンバス、209×730センチ、写真は福永一夫)と100号(長辺162センチ)の新作を含め9点の油彩画を出品します。いずれも雪山をモチーフにしていますが、加茂が描くシャープな印象の山は雪山というよりも登山でいう「デスゾーン」。特定の山ではなく、人間の生存が困難な区域の象徴です。 

そして画面に描かれた人が表すのは危険な状況です。火だるまの人はもちろん、装備をした登山者も「一歩踏み外せば死ぬかもしれない」という緊迫感を伝えています。風景は感覚によって空間を解釈したものですが、その感覚は純粋なものではなく、状況とかかわっていることを明らかにしています。

加茂昂(かも・あきら) 1982年東京生まれ、2010年東京芸術大大学院美術研究科絵画専攻修了。12年island MEDIUM(東京)で個展「【絵画】と【生き延びる】」。13、15年VOCA賞出展。14、15年対馬アートファンタジアに参加。15年青森公立大学国際芸術センター青森でアーティスト・イン・レジデンス展覧会「航行と軌跡」。