浅野綾花展「Uターンのまなざし」

Ayaka Asano exhibition
2015年2月3日~21日(正午~午後7時、最終日午後5時まで、日・月曜休) 

耳で聴く歌でも目で読む歌でもなく、目で見る「うた」。浅野綾花は声や文字の代わりに、色と形、物の存在感で感情を伝える、視覚の詩人ともいえるアーティストです。今回の個展で用いる技法は銅版画と、日常の出来事の痕跡である紙片のコラージュ。過去に触れようとしながらもコラージュの効果によって記憶は書き換えられ、新たな情景が立ち上がります。 

コラージュの素材は、友人や恋人からもらった物の包み紙などです。誕生日やクリスマスのプレゼントといった、たいそうなものではなく、どちらかといえば、日常の中で買って分けてくれたような食品の包み紙やビニール、そこに貼られていたお店のシール。くれた人はお返しを期待しているわけではなく、くれたことさえ忘れてしまっているかもしれないものの名残です。 

浅野は詩人が言葉を選ぶように、それらのかけらを選び、思い出にかかわる人物の版画に配置しました。さぞいとおしい世界が現れるのではないか――。制作当初は何の気なしに、そう期待していました。ところが、いざ作品ができてくると、版画と紙片などのかけら、かけらとかけらが干渉し、アーティストの経験から離れた作品が自立した存在として輝き出しました。 

人間関係の潤滑油程度のささやかなものに付随していた、さらにささやかなもの。一連の作品では、それらを画面に持ち込んだときの静かな力を一つ一つ試しています。画像左は「Uターンのまなざし-red-」(2014年、50×40センチ、銅版画、ハーネミューレ紙、紙袋)、右は「Uターンのまなざし-blue-」(同)。目で見る「うた」に文字を重ねた映像の新作も出品します。 

浅野綾花(あさの・あやか) 1985年静岡県生まれ、2008年大阪芸術大芸術学部卒。11年以降、Gemma(焼津市)、番画廊(大阪市)、Gallery H.O.T(同)、gallery&space SIO(同)、Venga(ソウル)などで個展。橘画廊では2013年に「浅野綾花展 ちょっとかなしい」。