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寺村サチコ展「多分まだ、花は咲かない」

Sachiko Teramura Tachibana Gallery 寺村サチコ 橘画廊
Sachiko Teramura exhibition
2017年5月24日~6月4日(正午~午後7時、月・火曜休)

花や海の生き物を造形上の参考にしながら、シルクオーガンジーを素材に絞り染めの技法で立体を制作する寺村サチコ。今回の橘画廊での個展では、多年草イヌサフランからインスピレーションを得た新作群を披露します。寺村によると、「いのちの美しさとその裏側」「女性の花ざかり」をテーマに、表と裏、光と影が溶け合う解放感も表わします(画像は制作中の作品の部分)。

イヌサフランに興味を持ったのは昨年秋、球根を買って自宅の隅で(土に植えず)栽培を始めたのがきっかけでした。やがて芽を出し、淡い紫の花が咲きましたが、球根の方はタマネギの皮のようなつるりとした皮が破れ、ジャガイモのつぶれたような形にシミができていました。透明感のある美しい花と妖怪みたいなグロテスクな球根の対比に驚き、全力で生きようとする植物の姿に感心しました。

これまでもスイートピー、レンゲソウ、ノイバラなど、さまざまな植物をイメージソースに使ってきましたが、植物が花の色や形、大きさを変えて昆虫や鳥を誘い、それらを介して受粉する有性生殖に主な関心がありました。しかし今回は、植物の生殖の戦略だけでなく、親が球根に残した養分を使って子が育ち、花を咲かせる姿、つまり世代間の命の受け渡しにも目を向けています。

寺村にとっての変わらないテーマは「若い女性の美と醜」であり、植物のふるまいをある程度擬人化して表現するのは従来と同じです。イヌサフランの球根がグロテスクに変貌し、身を削って花を咲かせているのだとすれば、人間の女性もシミやしわを作りながら花を咲かせようとしているのではないか。それこそ花ざかりなのではないか。そうした問題意識を造形に託しています。技法は10年近く探究しているシルクの絞り染め。すべての作品は布を染めつつ形を記憶させる方法によって、平面である布を立体に変化させています。

寺村は4月22日から6月25日まで(5月1日を除く月曜休)、群馬県立近代美術館の企画展「群馬の美術2017―地域社会における現代美術の居場所」にも出展しています。

寺村サチコ(てらむら・さちこ) 1986年兵庫県生まれ、2010年多摩美術大美術学部卒、11年前橋アートコンペライブ・グランプリ。12年多摩美術大大学院美術研究科修了。
<主な個展>
2017年 「多分まだ、花は咲かない」橘画廊(東京)
     ホテル・シーショアリゾート(たつの市)
2016年 「〜まどわし、赤〜」EARTH + GALLERY(東京)
       「繰り返さないリピート」Hasu no hana(東京)
2014年 「utopia」Hasu no hana(東京)
2013年 「MY SWEET FLOWERS」橘画廊(大阪市)
2012年 「今夜は女の子」橘画廊(大阪市)
2011年  赤穂市立図書館ギャラリー(赤穂市)