過去の展覧会

刀川昇平展 Life

Shohei Tachikawa Life Tachibana Gallery
Shohei Tachikawa Exhibition
2012年12月10日~22日(日曜休)

ラグビーボールみたいな楕円形。それは若手画家、刀川昇平が学生時代、抽象画の課題を描いていたときに自然と出てきた形でした。作品にはその全体が出てきたり部分が出てきたりします。爆弾のようにも見えるし、種子のようにも見えるでしょう。本人は「ただ、なんとなくやすらぐ形」だと言いますが、彼の作品のトレードマークともいえる存在です(画像の作品は130.3×162.1センチ、パネルに綿布、珪藻土、アクリル)。

「一粒の麦もし死なずば、唯一粒にてありなん。死なば多くの実を結ぶべし」。深読みすれば、そんな言葉が頭に浮かぶかもしれません。麦粒の数を直接増やすことはできませんが、地に落ちて発芽し、植物として成長すれば、たくさんの麦粒を生み出します。一粒の麦がたくさんの麦に変わるためには、発芽した後も、茎を伸ばし、花を咲かせるといった回り道が必要ですので、時間の経過も思わせます。

刀川の一部の立体作品のモチーフである楕円球は下が黒で、上が白。これには、彼の故郷である広島の歴史が影響しています。広島に原爆が投下された後、75年間は草木が生えないといわれながらも、その年の秋には植物が芽吹きました。そんなことを考えながら彼の作品と向かい合うと、この楕円球が爆弾による破壊と種子による再生の両義性を持つモチーフとして見えてきます。

今回の個展では、絵画と立体の両方を出品します。絵画は、つやを消すために珪藻土を使った下地にアクリル絵の具の薄塗り。背景や葉の輝きに明るさが感じられ、からみあう有機的な線に特徴があります。一部の立体には、ひょろりと伸びた桐の枝が使われていますが、皮をむいてバーナーで焼いた部分はきれいな黒。こうした黒と白の表現にも作家としてのこだわりがうかがえます。 (月~金曜正午~午後7時、土曜正午~午後5時)

刀川昇平(たちかわ・しょうへい) 1983年広島県生まれ、2006年大阪芸術大卒。 <主な個展> 05、06、08年ギャラリー白(大阪市)、09年ギャラリーG(広島市)、09、11年Art Space HAP(同)、10年ジノ・コンガン(韓国ソウル)。10、12年ヱビデンギャラリー(広島市)。

LOCO展

LOCO Tachibana Gallery
LOCO展
LOCO Exhibition
2012年11月19日~12月1日(日曜休)

2000年代前半、関西を中心に、かぶりものの「コップ人間」(写真左、Photo: RAW)のパフォーマンスで脚光を浴びた紙コップアーティスト、LOCO。05年に結婚した後は2度の出産もあって、パフォーマンスの活動を控えていますが、近年は茨城県を拠点に絵画を制作し、主にイタリアで発表しています。

LOCOの絵画は明るく、かわいらしい作風。自画像なのか、大きな目のスポーティーな「女の子」の絵を多く描いています。一方で、静かな祈りを捧げるような作品も。主人公は少女のようにも、少女の心を持つ大人のようにも見えます。写真右は「願い」(2011年、53×45.5センチ、カンバスにアクリル)。

美大の受験に失敗し、嶋本昭三のアトリエを訪ねたとき、ひたむきさと天真爛漫(らんまん)さに感心した嶋本が「弟子になってください」と、頭を下げたというのは有名なエピソード(「弟子にしてください」と言ったというバージョンもあり)。その天真爛漫さは絵画にも表われています。
(月~金曜正午~午後7時、土曜正午~午後5時)
*11月23日も正午から午後7時まで営業します。

LOCO(ロコ) 1976年茨城県生まれ。99年「コップ人間」のパフォーマンスを開始。2000年兵庫県立近代美術館「アート・ナウ」 に出品、03年ベネチアビエンナーレEXTRA50に招待。06~11年Spazio Arte dei Moriギャラリー(ベネチア)で個展。美術館、アートフェスティバルでのパフォーマンス、テレビ出演多数。

HANARARTに依美、西岡恵子、福田遼子


今秋開かれる「奈良・町家の芸術祭 HANARART2012」に、依美(インスタレーション)、西岡恵子(絵画)、福田遼子(絵画)が参加します。大和郡山市にある大正時代の洋風建築、杉山小児科医院(登録有形文化財、写真)で、11月1日から11日まで作品を展示します。「HANARART2012」全体の会期は10月27日から11月11日まで。五條新町、郡山城下町など6つの地域で町家などを会場に、現代アートの展覧会やイベントを繰り広げます。

宮本佳明「福島第一原発神社」を福島で展示


今年3月に「福島第一原発神社」の展覧会を開いた建築家、宮本佳明が今秋の「会津・漆の芸術祭2012」(福島県教育庁、福島県立博物館など主催)に同作品を出品します。会期は10月29日から11月10日まで、会場は喜多方市の大和川酒蔵北方風土館(写真)です。「福島第一原発神社」は、事故を起こした福島第一原発の原子炉建屋にアイコンとなる和風屋根を載せ神社として祀(まつ)るプロジェクト。3月の橘画廊での展示と同じく、200分の1の模型を展示します。

稲田早紀展

Saki Inada Tachibana Gallery
Saki Inada Exhibition
2012年10月15日~27日(日曜休)

「本物のようにみずみずしい」とか「香りが漂ってきそうだ」という言葉は、花の絵をほめるときの常套句ですが、稲田早紀の作品にはあてはまりません。みずみずしくはないし、花の香りも感じられないからです。では、シーレのヒマワリのように枯れているかというと、そうでもありません。おそらく稲田の作品を形容するには別の言葉がいるのでしょう。

切り落とされた赤紫のアジサイの絵(写真、2012年、130.3×162.1センチ、カンバスにアクリル、墨)。最近の彼女の作品としては、これでも鮮やかな方かもしれません。墨による黒い線はカンバスを焼いていたころの灰の色の「名残」なのだそうです。絵画を説明する文脈で「焼いていた」という言葉が出てくると違和感がありますが、学生時代の彼女はトラウマのせいで本当に絵を燃やしていたのだといいます。

アジサイばかりでなく、チューリップにせよシロツメクサにせよ、稲田が描く花からは肉感的な要素がそぎ落とされています。求めているのは、花がしおれる寸前の美しさなのでしょう。切り落とされているから死んでいるのか、切り落とされているけれど生きているのか。そうした境界線上の表現こそ彼女が苦心している点です。

本人いわく、目標はミイラのロザリア・ロンバルド。イタリアのパレルモにあり、世界で最も美しいといわれるミイラです。黄色いリボンをつけた少女のミイラは眠っているようにも見えます。このミイラを理想として生と死のはざまをとらえようとしている稲田にとって、「本物のようにみずみずしい」花を描かないことは、はすに構えたアイロニカルな表現などではないのです。それはむしろ本物にはない美を模索する積極性の表われだといえます。100号のアジサイの絵2点を含め18点を出品します。
(月~金曜正午~午後7時、土曜正午~午後5時)

稲田早紀(いなだ・さき) 1988年大阪生まれ、2011年京都市立芸術大卒。2010年GALLERYはねうさぎ(京都市)で個展、11年art gallery そら(大阪市)で個展、12年アートフォーラムJARFO(京都市)で個展。

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