過去の展覧会

HANARARTに依美、西岡恵子、福田遼子


今秋開かれる「奈良・町家の芸術祭 HANARART2012」に、依美(インスタレーション)、西岡恵子(絵画)、福田遼子(絵画)が参加します。大和郡山市にある大正時代の洋風建築、杉山小児科医院(登録有形文化財、写真)で、11月1日から11日まで作品を展示します。「HANARART2012」全体の会期は10月27日から11月11日まで。五條新町、郡山城下町など6つの地域で町家などを会場に、現代アートの展覧会やイベントを繰り広げます。

宮本佳明「福島第一原発神社」を福島で展示


今年3月に「福島第一原発神社」の展覧会を開いた建築家、宮本佳明が今秋の「会津・漆の芸術祭2012」(福島県教育庁、福島県立博物館など主催)に同作品を出品します。会期は10月29日から11月10日まで、会場は喜多方市の大和川酒蔵北方風土館(写真)です。「福島第一原発神社」は、事故を起こした福島第一原発の原子炉建屋にアイコンとなる和風屋根を載せ神社として祀(まつ)るプロジェクト。3月の橘画廊での展示と同じく、200分の1の模型を展示します。

稲田早紀展

Saki Inada Tachibana Gallery
Saki Inada Exhibition
2012年10月15日~27日(日曜休)

「本物のようにみずみずしい」とか「香りが漂ってきそうだ」という言葉は、花の絵をほめるときの常套句ですが、稲田早紀の作品にはあてはまりません。みずみずしくはないし、花の香りも感じられないからです。では、シーレのヒマワリのように枯れているかというと、そうでもありません。おそらく稲田の作品を形容するには別の言葉がいるのでしょう。

切り落とされた赤紫のアジサイの絵(写真、2012年、130.3×162.1センチ、カンバスにアクリル、墨)。最近の彼女の作品としては、これでも鮮やかな方かもしれません。墨による黒い線はカンバスを焼いていたころの灰の色の「名残」なのだそうです。絵画を説明する文脈で「焼いていた」という言葉が出てくると違和感がありますが、学生時代の彼女はトラウマのせいで本当に絵を燃やしていたのだといいます。

アジサイばかりでなく、チューリップにせよシロツメクサにせよ、稲田が描く花からは肉感的な要素がそぎ落とされています。求めているのは、花がしおれる寸前の美しさなのでしょう。切り落とされているから死んでいるのか、切り落とされているけれど生きているのか。そうした境界線上の表現こそ彼女が苦心している点です。

本人いわく、目標はミイラのロザリア・ロンバルド。イタリアのパレルモにあり、世界で最も美しいといわれるミイラです。黄色いリボンをつけた少女のミイラは眠っているようにも見えます。このミイラを理想として生と死のはざまをとらえようとしている稲田にとって、「本物のようにみずみずしい」花を描かないことは、はすに構えたアイロニカルな表現などではないのです。それはむしろ本物にはない美を模索する積極性の表われだといえます。100号のアジサイの絵2点を含め18点を出品します。
(月~金曜正午~午後7時、土曜正午~午後5時)

稲田早紀(いなだ・さき) 1988年大阪生まれ、2011年京都市立芸術大卒。2010年GALLERYはねうさぎ(京都市)で個展、11年art gallery そら(大阪市)で個展、12年アートフォーラムJARFO(京都市)で個展。

寺村サチコ個展「今夜は女の子」

Sachiko Teramura Tachibana Gallery 寺村サチコ 橘画廊
Sachiko Teramura Exhibition
2012年9月26日~10月6日(日曜休)

鮮やかな色、意味ありげな曲線。繊維造形作家、寺村サチコがつくる立体は、官能の象徴として咲き誇る花のようです(写真は過去の作品の部分、シルクオーガンジー、絞り染め・型染め)。リアルな花ではなく、植物でさえないのかもしれませんが、甘い香りを漂わせそうな見かけは動物を誘う花の性質を感じさせます。

兵庫県出身の寺村が東京の大学に入ったとき、きらびやかに着飾った女の子たちが花かクラゲに見えたそうです。昆虫を誘い、蜜を吸わせる代わりに花粉を運ばせる花か、海の中をふわふわと漂い魚を捕食するクラゲか。外見は魅力的だけれど腹黒い。そんな、少し意地悪な見方から、上品なシルクオーガンジーを素材に立体をつくってきました。

もちろん野生の花は人の目を楽しませるために咲いているわけではありません。それは植物が子孫を残すために必要な手段です。人間も植物と同じ生き物であるとすれば、意地悪な見方をしたというよりも、善も悪もない自然界の秩序を示しただけと言ったほうがよいのかもしれません。

植物が昆虫を誘う戦略はさまざまです。チョウでもハエでも選り好みをせずに招き入れる花もあれば、特定の昆虫にだけ蜜を吸わせる花もあります。それぞれが生存に有利なように進化し、自らの形を変えてきました。植物の多様化にならい、彼女も次々と新しい造形美を生み出しています。
(月~金曜正午~午後7時、土曜正午~午後5時)

寺村サチコ(てらむら・さちこ) 1986年兵庫県生まれ。2010年多摩美術大卒、神々への捧げものアートコンペ優秀賞。11年赤穂市立図書館ギャラリーで個展、前橋アートコンペライブ・グランプリ、12年多摩美術大大学院修了。

月の光浴びた生き物の形

Hiroko Hasegawa Tachibana Gallery
長谷川浩子展
2012年4月2日~14日(日曜休)

「肉体が自分だとは思っていない」と、彫刻家の長谷川浩子は言います。肉体が滅んでも自分は死なないという意味なのか、ほかに深い意味があるのか、真意はわかりませんが、三次元でとらえられる世界の外にも目が向いていることは確かなようです。「オオゾラニキス」「ヒトツニナル」「ホシノヒト」といった作品のタイトルにも、日常を超えたものへの関心がうかがえます。

木彫を始めて20年。今は、ヒノキ、マツ、サクラなどを素材に、翼を思わせる流線形の作品や人の顔をかたどった作品を制作しています。紙やすりをかけ胡粉(白色顔料)を塗った表面はなめらか。シンプルなフォルムが優しさを感じさせます。それでいて、ただエレガントなだけの作品ではありません。物質文明とともに人間はもう限界に来ているのではないか、人間の次の存在は何なのか。そう考えている長谷川が生み出す祈りにも似た造形。こうした作品を前にして、創造するとはどういうことなのか、問い続けざるを得ません。

ここに掲げた写真の作品は「エネルギーの女神」をイメージしています。「宇宙のエネルギーをシュッと集めてくる存在」がなんとなく思い浮かんだそうですが、「原子力発電の対極」というイメージだけははっきりと持っていました。「これ」があれば化石燃料も原発もいらないというのです。「これが現れてくると世の中変わるような気がして……」。親しみを持って「これ」と呼ぶ彼女は真顔でした。

そんな彼女のインスピレーションの源が夜空に浮かぶ月です。満ち欠けを繰り返し、生命をコントロールする月。作品をつくるときは、その光を浴びた、すべての生き物に共通するエネルギーの形を意識しています。人間に似せた形をつくることや、動物に似せた形をつくることなら、そう難しくはないかもしれません。しかし「あらゆる生き物に地下水脈のようにつながっている形」を探るところに長谷川の挑戦があります。福島県いわき市から奈良県明日香村に拠点を移して約10カ月。関西では初の個展です。木彫10点とパステル画1点を出品します。写真は「オリタツ」(部分、2012年、サクラ、マツ)
(月~金曜午前11時~午後7時、土曜正午~午後5時)

長谷川浩子(はせがわ・ひろこ)
1961年 新潟県新発田市生まれ
1986年 東京芸術大卒
1987年 田村画廊(東京)で初個展
1988年 東京芸術大大学院彫刻専攻修了
福島県いわき市を拠点に活動し、ギャラリーいわき泉ケ丘(いわき市)、ギャルリー志門(東京)などで個展多数
2011年 東日本大震災で被災し、いわき市から奈良県明日香村に移住
グループ展「いま。つくりたいもの、伝えたいこと。」 (いわき市立美術館)

 

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