キム・チャンギョム展

Changyum Kim still life 2 2015 Tachibana Gallery 橘画廊
Changkyum Kim exhibition
2015年5月12日~30日(正午~午後7時、最終日午後5時まで、日・月曜休)

映像を用いたインスタレーションを中心に制作し、国際的に活躍する韓国のアーティスト、キム・チャンギョムの個展です。今回は代表作「still life」シリーズの新作「still life 2 2015」(4分50秒)、同じく「water shadow」シリーズの新作「water shadow in dish」(2015年、3分40秒)のほか、写真作品6点を出品します。映像作品は現実と虚構の境界を崩し、存在することの不思議さを幻想的に問いかけます。

「still life 2 2015」(上の画像)では、壁に取り付けた棚に3本の瓶(オブジェ)を配置。瓶に少女が出たり入ったりする映像を投映し、イリュージョンを浮かび上がらせます。少女は瓶の中で手を振ったり飛び跳ねたり、さらに影として瓶の前や後ろを横切ったりします。キムは「stile life」(2007年)で映像の女性の存在感を詩的に描きましたが、新作では日本の着物の花柄などもモチーフに取り入れ、より華やかな世界を繰り広げます

四季をテーマにした「water shadow in dish」(下の画像)でも、床に置いた直径90センチ弱の大きな皿(繊維強化プラスチック製)に本物と見まごう水の映像や泳ぐ金魚、水に飛び込むカエルの映像などを投映し、四季の移ろいに鑑賞者を引き込みます。この作品に使った、皿の模様、水、小動物、植物などの映像のレイヤー(層)は約200。実写の映像とCGをなめらかにつなぎ、皿の上に仮想の現実をつくります。

Changkyum Kim water shadow in dish Tachibana Gallery 橘画廊
人には、現実であれ映像であれ見えたものの存在を信じる心の働きがあるらしく、たとえば現実の街並みを見た後に映像で街並みを見ると記憶が上書きされることがあります。映像のイメージがあふれる現代において、人はどこまでが現実なのか、どこからが映像の中のモノやコトなのか区別できていないのではないか。キムの映像作品には、そうした問題意識がひそんでいます。

キム・チャンギョム
1961年 韓国ヨジュ生まれ
1987年 セジョン大絵画科卒
1994年 イタリア・カラーラ美術アカデミー留学
1995年 ドイツ・デュッセルドルフ美術アカデミー留学

<近年の主な展覧会>
2004年 「アウト・ザ・ウィンドウ」(国際交流基金フォーラム/東京)
2005年 「韓国ビデオアート-ナムジュン・パイクを超えて」(アートケルン/ケルン)
2008年 「キム・チャンギョム展 シャドウ」(国際芸術センター青森

クムサンギャラリー(ソウル)、プロジェクトスペース・サルビアダバン(同)、Chen Ling Hui Contemporary Space(北京、台北)などで個展多数。

韓国国立現代美術館(ソウル)、フランシス・J・グリーンバーガー・コレクション(ニューヨーク)、大田美術館(韓国・大田市)、十和田市現代美術館などに作品が収蔵されている。