千葉麻十佳展「The Melting Point; 石がゆらぐとき」

Madoka Chiba 'Melting Stone' Tachibana Gallery 千葉麻十佳 橘画廊
千葉麻十佳展「The Melting Point; 石がゆらぐとき」
Madoka Chiba exhibition “The Melting Point; In Fluctuating Stones”
2016年10月15日~11月6日(正午~午後7時、月・火曜休)
文化庁メディア芸術祭20周年企画展協賛企画

ドイツ在住のアーティスト、千葉麻十佳は今年8月、制作のため約1カ月間、アイスランドに滞在しました。大西洋の北に浮かぶアイスランドはマグマがつくった火山島。千葉は太陽光のエネルギーを利用して、かつてマグマだった、その土地の火山岩を溶かし、一瞬の間、まばゆい赤をよみがえらせました。 

制作地は首都レイキャビクから北へ400キロ以上離れた漁業の町、オゥラフスフィヨルズゥル。晴れた日に、特殊なレンズを用いて、火山岩(主に玄武岩)表面上の狙ったところに太陽光を集中させました。地上の自然界では岩や石が溶けることはありませんが、人工的に1000度もの熱を加えると数秒で岩石の一部分が融解します。 

強固なものの代表であり、人々の生活の土台である岩石が溶けた姿は視覚的な衝撃を与えるとともに、地上のあらゆるものがもとは違う姿だったことを想像させます。そして岩石を溶かす行為自体が、自然を作り変えてきた人間の行いも示唆しています。今回の個展では、表面を溶かした岩石と、ドイツなどで火山岩を溶かす過程を撮影した写真を合わせて展示し、「石がゆらぐとき」を表現します。 

アイスランドでは地層がむき出しの山を見つけ、ふもとから山頂付近にかけて地層の段階的な撮影もしました。その写真は、ある地層ができた後に環境が大きく変化し別の地層ができたこと、すなわち時間の経過とともに大地が多様化したことを物語っています。 

アイスランドは大西洋中央海嶺の一部であり、そこでユーラシアプレートと北米プレートが誕生しています。ユーラシアプレートは東へ移動し、北米プレートは西へ移動。地球を半周した先の日本でぶつかるといわれています。千葉の制作には、こうした地球レベルでの時間、空間へと思考を促す意図があります。上の画像は左右ともに「Melting Stone」(2016年、デジタルCプリント、78×52センチ)。

千葉麻十佳(ちば・まどか) 1982年北海道生まれ。2007年東京芸術大美術学部彫刻科卒、サロン・ド・プランタン賞と平山郁夫賞を受賞。09年東京芸術大大学院彫刻専攻修了。09~10年ベルリン芸術大留学。11年前橋アートコンペライブ銅賞、12年同森村泰昌賞を受賞。現在ドイツ在住。主な展覧会に「光を敷写する」(15年、さっぽろ天神山アートスタジオ)、「Ich kann mich nicht erinnern」(14年/ベルリン)、blooming in the dark(12年/ベルリン/共同企画・朝日新聞文化財団助成)など。