浅野綾花展「僕の秘密を教えてあげる」

浅野綾花 橘画廊 Ayaka Asano Tachibana Gallery
Ayaka Asano exhibition
2017年6月8~25日(正午~午後7時、月・火曜休)

版画家の浅野綾花は今年春、台湾台中市のYIRI ARTSで個展を開き、現地に1カ月間滞在しました。今回の橘画廊での個展では、そのときの経験を基に生み出した作品を中心に出展します。主なモチーフは台湾の友人たちの顔。コラージュも取り入れた銅版画など柔和な雰囲気の作品からは、ゆるい打ち明け話を交わしたときの解放された時間のイメージがにじみ出ています。

台湾滞在中、浅野はスタジオを借りて、制作を試みました。いつまでに何をするという義務はなく、何をするのも本人次第。空いた時間には友人たちとおしゃべりを楽しみました。中でも一番の話し相手は、日本語のできるH君でした。晴れた空の下で見せるのんびりした表情と屈託のなさ。周りの人には日本語はわからないだろうという安心感もあって、仕事のことも恋愛のことも何でも話し合ったのだそうです。

新作には、そんなH君をはじめ台湾の友人たちの気取らない顔が多く登場します。昨年の個展と同じく、思い出のよすがとして、日常の中で親しい人にもらった食品などの包装を画面に貼るコラージュも採用しています(紙片などを紙に貼ってから刷るため、正確にはコラージュとは呼ばないかもしれません)。ただ今回は、テーマである「思い出」との距離のとり方が変わりました。「ここから向こうは過去で、その手前は現在です」といったこだわりは消え、思い出を過去のこととして突き放すようなスタンスも弱まっています。

浅野によると、見知らぬ土地である台湾は「出会いのマジック」にあふれていました。居合わせた人たちと会話によって経験を交換し、人生の見晴らしが良くなった実感があるとも語っていました。彼女は「出会いのマジック」を凝縮した一枚一枚の作品を通して、人と人の出会いによって世界が変わることもあるよと、ささやかに訴えています。

上の画像は「うち明けばなしの繰り返し」(2017年、銅版画、ビニールバッグ、30.1 × 24 ㎝)、下の画像は「わたしのところへおいで」(2016年、銅版画、包装紙、72.8 × 103㎝=第16回南島原市セミナリヨ現代版画展KTNテレビ長崎賞受賞作)。 

Ayaka Asano Tachibana Gallery 浅野綾花 橘画廊
浅野綾花(あさの・あやか)1985年静岡県生まれ、2008年大阪芸術大芸術学部卒。
<主な個展>
2017年 YIRI ARTS(伊日藝術)Taichung Space「お別れの時」
2016年 浅野綾花展「もう一度会ってから、グッバイね。」橘画廊(東京)
2015年 「浅野綾花展 Uターンのまなざし」橘画廊(大阪市)
2013年 「浅野綾花展 ちょっとかなしい」橘画廊(大阪市)
2011年~Gemma(焼津市)、番画廊(大阪市)、Gallery H.O.T(同)、gallery & space SIO(同)、Venga(ソウル)など