谷口和正展 FRAGILE4+いしかわゆか

Kazumasa Taniguchi Tachibana Gallery
Kazumasa Taniguchi exhibition  FRAGILE4+Yuka Ishikawa
2013年6月4日~22日(本展に限り日・月曜休)

天空で光を放ちながら成長と衰退を繰り返す月。その神秘的な姿が東西の神話に残されていますが、神話の世界から遠く離れた現代でも、人を魅了する輝きは変わりません。彫刻家の谷口和正は生命のサイクルを象徴する月をモチーフとして、光と闇、生と死が共存する空間を表現しています。

アルファベットの大文字を刻んだ中空の球体(直径45センチ)。中に入れたLEDの光が文字の影を白い布や床に映します。球体の素材は鉄です。谷口は鉄板をガス溶断し、文字を形作りました。古代の人は月を見て、C(三日月)、D(半月)、O(満月)といったアルファベットの一部の文字を考えたといわれています。月をイメージした球体を文字で覆うことは、人間が月によって知性を授けられたとことをも想像させます。

合計3点の球体を置き、それぞれの一部を磨く一方、他の部分をさびさせることで三日月や半月を表します。月を題材としたさまざまな神話では、必ずしも闇は光と対立する存在ではありません。谷口の作品でも、光と影はせめぎ合いながらも一体の存在のようです。

今回の展示には、愛知県在住の切り絵作家、いしかわゆかが参加。ゲッカビジンの花をモチーフに用い、谷口が制作する「鉄の花」と同じ大きさ、同じ形をした「紙の花」を壁一面に散りばめます。暗い世界から現れ、月が満ちていくように成長し開花するゲッカビジン。やがて実を落とし、闇へ消えていくまでを鉄と紙で表します。

鉄を溶断して制作する谷口と、紙を切って制作するいしかわを「切る」という観点で結びつけるコラボレーションの試みでもあります。
(火~土曜正午~午後7時、日・月曜休、6月22日のみ午後5時まで) 

谷口和正(たにぐち・かずまさ)
1964年京都生まれ。武蔵野美術大学大学院美術専攻彫刻科修了。
<近年の個展>
2003年 「Lost in Time」(METAL ART MUSEUM HIKARINOTANI /千葉)
2009年 「RE:BIRTH」(neutron kyoto /京都)
2010年 「Fragile 2」(neutron tokyo /東京)
2011年 「Fragile 3」(neutron tokyo /東京)
2012年 TRACE-fragment- (橘画廊/大阪)

いしかわゆか
愛知県在住。2006年に独学で切り絵を始める。06年以降、Cafe  Mama Marry(名古屋)、 gallery licca(名古屋)で個展。